沖縄県の南部、那覇市の西隣に南風原町（はえばるちょう）があります。その南風原町の中に喜屋武（きゃん）という集落があります。そこで毎夏繰り広げられる喜屋武の住民の綱引きは、観光化されていない、住民の手による純粋な祭りです。
時には荒っぽい光景が見られるので喧嘩綱引きと異名をとることもあります。でも、喜屋武の住民は喧嘩だとは思っていません。一生懸命に力を合わせて自分たちが勝つために綱を引く、その過程でたまたま起きるアクシデントに過ぎないのです。小さな集落ですからみんな顔見知り。だからこそ、そこに勝ち負けへの執念はあっても、悪意などひとかけらもないのです。
こんな祭りがあることを喜屋武の住民は誇りに思っています。